防音室の重さと「床補強」の重要性

2019年3月14日

はじめに

ユニット型の防音室を自宅に導入する際、絶対に必要な確認事項が「重さ」です。

「遮音性能」や「広さ」に目が行きがちですが、果たして防音室(とピアノ)を入れて、家屋は大丈夫なのか? 木造や軽量鉄骨の一戸建てに住んでいる場合は、これ、不安ですよね。

以下、鉄筋のマンションや戸建てにお住まいでない方は、ぜひお読みください。

カワイの防音室 3畳サイズ
カワイの防音室「MHSX18-26」

防音室の家屋への荷重はどのくらい?

家屋の耐荷重は建築基準法において、床1平米当たり180kgまで耐えられるように作ることが定められています。

大相撲の幕内力士の平均体重は164kg(2019年1月場所の幕内力士42人)です。1平米あたり1人の力士が座って耐えられる強さといえましょうか。

3畳の防音室は、ヤマハのアビテックス「AMDB30C」を例にすると、広さ5.21平米、重さ596kg。

ヤマハの防音室「AMDB30C」
ヤマハの防音室「AMDB30C」

1平米あたり114kg(=596kg÷5.21平米)なので、建築基準法で定められた耐荷重180kgまで十分に余裕がありそうです。

しかしながら、実際には、防音室の中はすっからかんではありません。中には最小限でピアノ、ピアノのイス、ヒトが入ります。小型のグランドピアノ、ヤマハ「CX2」クラスを入れると、次のような重量になります。

  • 防音室(ヤマハ AMDB30C) 596kg
  • グランドピアノ(ヤマハ CX2) 305kg
  • イス(ヤマハ N0.45) 9.1kg
  • ヒト(私) 58kg

合計重量 968.1kg → 1平米あたり185.8kg

いかがでしょう。建築基準法の基準値180kgをオーバーしました。この他にエアコンを設置したり、楽譜棚を置いたりすると、もっと重量は上がります。

ですので、ユニット型の防音室は木造住宅の2階には設置できませんし、1階であっても床下の補強工事が必要になります。

「床束」増設による床下の補強とは

木造や軽量鉄骨の家屋の場合、防音室の床下補強は、家を建てる際に一緒に行うのがベストですが、家屋の新築と防音室導入のタイミングが合うのは稀です。

現在住んでいる住宅に防音室を導入する場合、床下の補強工事を行うことになります。

私は、床下に「床束」による補強を行うことをおすすめします。

例えば、木造住宅1階の床を組む際、水平に渡した太い木材を「大引(おおびき)」といいます。通常は9~12cmの角材が用いられます。この大引を、地面から垂直に立って支えている柱を「床束(ゆかつか)」といいます。90cmの間隔で立っている場合が多いです。

この床を支える「床束」同士の間に、新たにもう1本床束を設置。そうすることで、荷重を分散することができます。90cm間隔なら45cm間隔にするわけです。

床束
床束の補強イメージ(城東テクノ社 製品ページより)

なお、ヤマハの公式サイトには、以下のように記載されています。

Q:防音室の荷重に、建物が耐えられますか?

A:アビテックスの荷重は、概ねこの範囲の中に納まるように設定されておりますが、施工の状況や家屋の築年数、またアビテックス以外の家具等の荷重状態といった様々な条件によって変わってきます。最終判断は建設会社、ハウスメーカー、設計事務所など建築に携わった方にお問い合わせ下さい。

ヤマハ公式サイト「よくあるお問い合わせ(Q&A)」より

ユニット型防音室の重さと荷重は重要です。ぜひ防音室に強い工務店や設計事務所にお問い合わせを。