防音室に「鏡」を置くことのメリット

防音室内の必需品リスト

練習を「意識的で創造性に溢れたプロセス」(→「練習」とは何か? その本質を考えてみる)とするには、防音室内の環境が重要です。

音楽教育学者のジェラルド・クリックスタインは、著書『成功する音楽家の新習慣 -練習・本番・身体の戦略的ガイド』において「練習室の必需品」として、以下をリストアップしています。

  1. 身体に合った椅子
  2. 譜面台ノートと鉛筆
  3. 電子メトロノームとチューナー
  4. 時計鏡(動きがわかるように)
  5. レコーダー
  6. 楽器のスタンド/ホルダー
  7. 飲料水(水分をしっかりと補給すること)
  8. 適切な照明、温度、湿度
  9. ある程度の静けさとプラバシー
  10. 耳を守る手段

こちらは一般的な練習環境とあらゆる楽器を想定した汎用的なリストですので、「防音室とピアノ」に限ると、以下のようになるでしょう。

  1. 身体に合った椅子
  2. ノートと鉛筆
  3. 電子メトロノーム
  4. 時計
  5. 鏡(動きがわかるように)
  6. レコーダー
  7. 飲料水(水分をしっかりと補給すること)
  8. 適切な照明、温度、湿度

この中で注目したいのが「鏡」です。

よい響きを作る姿勢を「鏡」で確認

姿勢が発声そのものに密接に関わる歌手は、鏡を前にして練習するシーンをよく見かけます。ところが、ピアノの場合、自分の演奏している姿をつぶさに鏡で確認しる人は少ないのでは?

実際、本番での様子をビデオで見直すと、えらく前のめりで弾いていたり、力が入っていかり肩になっていたりと、不自然な姿勢で演奏している場合がしばしばあります。

背筋が伸びて、肩に力が入らず、自然と腕で落ちている、よい「脱力」の状態でピアノを弾くと、驚くほどピアノの響きが遠くへ伸びるもの。

よい音はよい姿勢から。普段から自分がどのような姿勢でピアノを弾いているのか、もう少し意識した方がよさそうです。

防音室にぜひ「鏡」を設置し、演奏する姿をチェックしてみましょう。

防音室内の鏡
姿見を置いてみた。できれば側面を鏡張りにしたい。

防音室内を広く見せる効果も

壁一面を鏡張りにすることで、スペースを広く見せているレストランを時折見かけます。

また、本格的な音楽ホールのリハーサルルームは、しばしば壁の一面がガラス張りになっているところが多く、中に入ると実寸よりもかなり広く感じます。

防音室も室内に鏡を置くと、スペース以上に広く感じられる効果があります。

ユニット型の防音室の場合は、2畳・3畳から広くても4.3畳。ここにグランドピアノを入れると、かなり窮屈です。

リラックスできる練習空間を作るには、鏡を設置することで擬似的に空間を広げることも一つのアイデアですね(もちろん、中には狭い空間が落ち着くという人もいるかもしれませんが)。